牛乳を飲んだ後は歯磨きしないままでも良い・・・?

豆知識

昔、とあるお子さんからこのようなことを言われました。

『牛乳はカルシウムが沢山含まれてて歯を強くしてくれそうだから、飲んだ後歯磨きしなくても良いよね?』

確かに、牛乳には、多くのカルシウムが含まれており、歯の硬組織をより丈夫にしてくれそうなイメージを持つのも非常によく分かります。

しかし、だから歯磨きしなくて良いという根拠にはなりません。

ここからは牛乳に含まれる成分から考えていき、牛乳を飲んだ後に歯磨きをしなくても良いのかについて考察していきます。

牛乳を飲んだ時にほんのり甘味を感じると思います。甘いという感覚が惹起されるということは砂糖かそれに似た何かが入っているのです。

結論、牛乳には、乳糖(ラクトース)と呼ばれる二糖類が含まれておりこの二糖類は加水分解(水が加わると起こる反応)されることでグルコースとガラクトースに分解されます。そして、このグルコースやガラクトースが虫歯(う蝕)を作る大きな原因となるのです。下の図は、歯垢中のう蝕病原細菌が、グルコースなどの糖を代謝して、酸を産生することでpH(7が中性で、7より小さいほど酸性である)が下がることを示すStephanカーブというものです。見てみると、ガラクトースはまだしも、グルコース(ブドウ糖)はかなり急激に歯垢内部のpHを7よりも小さくしています(酸性に傾かせています)。酸性に傾けば傾くほど、歯はその酸によって溶かされてしまうのです。

参考文献:口腔保健・予防歯科学 第1版

う蝕病原細菌が、糖を栄養源に生活し、その代謝産物として生成された酸で歯が溶かされてしまうというのが虫歯ができる簡単な原理です。ということでもう結論は出てしまいました。

牛乳を飲んだ後は、口の中に虫歯菌のエサとなる糖が残るため、必ず歯磨きしよう!

だが、牛乳が完全に歯を虫歯にしてしまう悪者かというとそうでもないのがまたややこしいのです。

・チーズや牛乳はカルシウムやリン・カゼインが含まれており、う蝕の予防因子である。また、牛乳には、う蝕の予防に非常に有効なF(フッ素)が含まれている。

などと書かれている教科書や文献もあります。しかし、これはおそらく歯の表面に牛乳内の成分が乗っかって作用する話ではなく、体に取り込まれてから作用される話であると思われますので、やはり虫歯になってしまうことのリスクを考えると、間違いなく、牛乳を飲んだ後は放置せずに歯磨きをするべきであると考えられます。

本日は、牛乳を飲んだ後の歯磨きの有無について考えてみました。結論は歯磨きはするべきというものになりましたが、普段から、この食べ物は虫歯になりやすいのかどうかを考えながら口に運んでみると、虫歯予防の意識は良い方向へ変わるかもしれませんね(笑)

本日は以上です!ありがとうございました!

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