インレーの治療について

豆知識

はじめに

今日は、インレーによる修復治療について書いていこうと思います。前回のブログ(下記参照)で削った部分が少ない場合は、詰め物をすると書きました。

メタルインレー
CRインレー

削った部分が少ない場合の治療法で、CR(コンポジットレジン)充填、メタルインレー、CAD/CAMインレー、CR(コンポジットレジン)インレー、セラミックインレーがあります。この中のCR充填は直接歯の中に材料を入れて、固める治療です。しかし、◯◯インレーという治療法は、印象採得という歯型を取る工程を経て、口の外で何日かの間に詰め物を作って、また患者さんに来院してもらって、出来上がった詰め物をつける方法です。

この説明だけを聞くと、

どうしてインレーで修復するのか。CR充填をしたら治療も一回で済むのに、どうしてインレー修復をするのか。

と疑問に思う方もたくさんいると思います。

わざわざインレー修復を選択するのには、いくつかの理由(インレー修復の長所)があるのです。しかし、長所があれば、短所もあります。代表的な短所も、下記に記しておきます。

インレー修復の長所

①適切な解剖学的形態(元の本物の歯の形)を再現できる

口の中に直接詰め物を流して固まらせるCR充填の治療法でも、本当に極めて腕の良い歯医者がやれば、確かに、元の歯通りの形や歯の解剖学的形態を付与することはできるでしょう。しかし、一般的には、口の中で100点の形を作ることは難しいですし、もし出来たとしても治療時間も長くなります。一般的な『保険』診療で治療している歯医者では、患者さん1人あたりの1回の治療時間(チェアタイム)(治療するイスに座ってもらえる時間)もおおよそ決まっているため、1人の患者さんに長時間の治療時間をかけられません。そこで、インレー修復の出番です。患者さんの口の外で、ほぼ100点の形の詰め物を作ることができ、少し調整すればそれを付けるだけで治療完了です。

もし、インレー修復で治すことになりそうな患者さんがいて、その方が

『インレー修復は1日で終わらないから嫌だ。1日で治療できないの?』

といった要望がある場合は、治療時間を長く取ってくれ、口の中で丁寧に形態修正してくれ、さらに見た目的に詰め物かどうかもわからないCR充填をしてくれる『自費』(自由診療)の治療を行っている歯科医院で直してもらうのが最善かもしれません。しかし、『自費』の場合は、保険適応外のため、診療代金は高くなってしまいます。

②歯型の上で、詰め物の形態修正・研磨(磨くこと)ができる

CR充填は、口の中で詰め物を入れて、そのまま固めます。そのため、固めた後に歯の形を調整したいな思っても、その作業は口の中でやらなければいけません。しかし、インレー修復ならどうでしょう。詰め物を外で作っているため、何回か口の中に入れながら、形の違和感があれば、口の外に取り出して調整することができるのです。患者さん的にも、口の外で調整してもらえれば、口の中で削られる必要がなくなるため、治療のストレスは減ります。

③歯と歯の間の詰め物の形を作りやすい

歯と歯の間に、もし、口の中で直接詰め物を流し入れて固めるCR充填を行った場合は、口の中でその形を作り、調整し、研磨しなければなりません。確かに、普通のCR充填でも、歯と歯の間の治療を行うための道具はあるので、歯の形次第ではできる症例もたくさんあります。しかし、その道具を使っても、歯と歯の間の形を作ることが難しい穴の形である症例もたくさんありますし、普通にイメージしてみても歯と歯の間の歯の形を口の中で作るのは難しいと思えると思います。そんなときのインレー修復です。可能な場合は、1日で歯と歯の間のCR充填による修復にした方が患者さん的には良いかと思われますが、無理やりCR充填で治そうとしておかしな歯の形になっては意味がありません。CR充填では、詰め物の隣の歯と接触する部分の形を作るのが難しそうな場合は、積極的にインレー修復を選択した方が良いのです。

インレー修復の短所

①1日で治療が終わらない

インレー修復は印象採得(歯型取り)を行い、歯型を作ることで、口の外で詰め物を作ります。そのため、詰め物を作るのに時間がかかるため、基本的には、患者さんにはまた後日来てもらうことになります。病院に来る時間があまり取れない患者さんは、1日で治療が終わらないのは、かなりネガティブなポイントの1つかなと思われます。

②支払う料金が高くなる

基本的に、CR充填よりもインレー修復による治療の方が『保険』点数が高くなり、それすなわち、患者さんが支払う料金が多くなってしまいます。より良い治療を行うためには、仕方のないことかもしれませんが、物価上昇の今、出費はできる限り抑えたい方もおられると思いますので、どうしても治療費を安くしたい場合は、担当の歯科医師に相談してみるのも良いかもしれません。

③歯を削る量が多い

CR充填による治療よりも、インレー修復の方が、必ず歯を削る量は多くなってしまうのです。歯は削れば削るほど、削る時の痛みは感じやすくなりますし、歯の神経の方に菌が入りやすくなってしまったりもします。詰め物を作る工程を考えると、少し多く削る必要があるのは仕方のないことかもしれませんが、これはインレー修復の大きなデメリットの1つです。

終わりに

本日は、インレー修復について書きました。インレー修復は一長一短ではありますが、うまく使えば、インレー修復が最善の治療法となる患者さんもたくさんいらっしゃいますので、これを機に、インレー修復の流れ等を頭の片隅においておきましょう。

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