シーラントってなに?

歯科医師国家試験

はじめに

今回はシーラントについて書いていこうと思います。

シーラントとは日本語で言うと、予防填塞(よぼうてんそく)です。

基本として、萌出して間もない歯に対して行う処置であり、歯の溝を埋めておき、汚れが溜まりにくくしておく工夫のことです。

参考文献:歯科医師国試パーフェクトマスター 小児歯科学 第5版

見た目としては、上に示されている画像のようになります。

『そんなものしなくてもしっかり歯を磨けば良いよね?』

と思われるかもしれませんが、

萌出して間もない歯(乳歯も永久歯もともに)

①歯質の耐酸性が低い。(石灰化が十分でない。)

②歯の溝が深い。(歯の溝は歯を使っていき、すり減ることで浅くなっていく。)

③生える時期が、生活環境が変わりやすい時期であり、歯磨きが不十分になる可能性が高い。

という特徴があるので、シーラント処置は可能であるならばやっておくべき処置です。

①予防填塞部位

先ほども書きましたが、基本としては、萌出して間もない歯に行います。

それらの歯の中でも、溝が深い臼歯部に行われることが多いです。もちろん前歯部でも、斜切痕や盲孔などの複雑な構造があれば、シーラントの積極的な適応部位です。

②溝を埋める材料の種類

❶レジン系

ラバーダム防湿といって、歯にゴムのマスクをかけることで、歯を防湿(口の呼吸による蒸気等から分離する)することができる歯には、レジン系の材料により充填します。

⭕️レジン系の材料の長所

・グラスアイオノマー系と比べて、機械的強度が高い、経年で外れることが少ない。

🔺レジン系の材料の短所

・充填時に、防湿が十分にできていなければ、くっつかなかったり、すぐに外れたりする。

・完全に萌出し終わっている歯でなければ、ラバーダム防湿が行えないため、理論上は、完全萌出歯にしか適応できない。

❷グラスアイオノマー系

GIC(グラスアイオノマーセメント)が有名な材料であり、ラバーダム防湿しなくても、歯にくっつきやすい材料であるため、非常に使い勝手が材料です。

⭕️グラスアイオノマー系の長所

・ラバーダム防湿が不要であるため、完全に萌出しきってない歯でも、適応可能である。

・フッ素徐放性があり、充填した後、フッ素を一定期間放出することで、歯質を強化する。

🔺グラスアイオノマー系の短所

・機械的強度や外れにくさがレジン系より大きく劣るため、基本的には、完全に萌出した後は、グラスアイオノマー系で充填した部分は、レジン系の材料でやりかえる必要がある。

③シーラント処置の注意点

1.歯を削ってから埋める❌→ムシ歯ではないので、歯は削らずに溝だけ埋める⭕️

2.歯自体は完全に萌出していなくても良いが、歯の頭の面(噛む面)(咬合面)は完全に放出している必要がある。

おわりに

今回は、シーラントについて書いてみました。

大人の口の中にも、子供の頃にやったシーラントが残っている歯を見ることはよくあり、その歯はムシ歯にならずに、健康な歯であることが多いです。

大人の歯は、子供の頃に生えてきますが、人生でずっと使うものです。どうかシーラント等の工夫を行なって、ムシ歯にならないように対策しておきましょう!

今日もありがとうございました!!!

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