はじめに
今回はシーラントについて書いていこうと思います。
シーラントとは日本語で言うと、予防填塞(よぼうてんそく)です。
基本として、萌出して間もない歯に対して行う処置であり、歯の溝を埋めておき、汚れが溜まりにくくしておく工夫のことです。

見た目としては、上に示されている画像のようになります。
『そんなものしなくてもしっかり歯を磨けば良いよね?』
と思われるかもしれませんが、
萌出して間もない歯(乳歯も永久歯もともに)
①歯質の耐酸性が低い。(石灰化が十分でない。)
②歯の溝が深い。(歯の溝は歯を使っていき、すり減ることで浅くなっていく。)
③生える時期が、生活環境が変わりやすい時期であり、歯磨きが不十分になる可能性が高い。
という特徴があるので、シーラント処置は可能であるならばやっておくべき処置です。
①予防填塞部位
先ほども書きましたが、基本としては、萌出して間もない歯に行います。
それらの歯の中でも、溝が深い臼歯部に行われることが多いです。もちろん前歯部でも、斜切痕や盲孔などの複雑な構造があれば、シーラントの積極的な適応部位です。
②溝を埋める材料の種類
❶レジン系
ラバーダム防湿といって、歯にゴムのマスクをかけることで、歯を防湿(口の呼吸による蒸気等から分離する)することができる歯には、レジン系の材料により充填します。
⭕️レジン系の材料の長所
・グラスアイオノマー系と比べて、機械的強度が高い、経年で外れることが少ない。
🔺レジン系の材料の短所
・充填時に、防湿が十分にできていなければ、くっつかなかったり、すぐに外れたりする。
・完全に萌出し終わっている歯でなければ、ラバーダム防湿が行えないため、理論上は、完全萌出歯にしか適応できない。
❷グラスアイオノマー系
GIC(グラスアイオノマーセメント)が有名な材料であり、ラバーダム防湿しなくても、歯にくっつきやすい材料であるため、非常に使い勝手が材料です。
⭕️グラスアイオノマー系の長所
・ラバーダム防湿が不要であるため、完全に萌出しきってない歯でも、適応可能である。
・フッ素徐放性があり、充填した後、フッ素を一定期間放出することで、歯質を強化する。
🔺グラスアイオノマー系の短所
・機械的強度や外れにくさがレジン系より大きく劣るため、基本的には、完全に萌出した後は、グラスアイオノマー系で充填した部分は、レジン系の材料でやりかえる必要がある。
③シーラント処置の注意点
1.歯を削ってから埋める❌→ムシ歯ではないので、歯は削らずに溝だけ埋める⭕️
2.歯自体は完全に萌出していなくても良いが、歯の頭の面(噛む面)(咬合面)は完全に放出している必要がある。
おわりに
今回は、シーラントについて書いてみました。
大人の口の中にも、子供の頃にやったシーラントが残っている歯を見ることはよくあり、その歯はムシ歯にならずに、健康な歯であることが多いです。
大人の歯は、子供の頃に生えてきますが、人生でずっと使うものです。どうかシーラント等の工夫を行なって、ムシ歯にならないように対策しておきましょう!
今日もありがとうございました!!!